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OPPの脚本家兼出演者・にしだ哉恵のブログです。
...というか、超個人的日記アーカイブです。
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心理的時間の余裕がないと、純文学は読めません。
いや読めるしいいなぁとも思うのだけれど、もったいない。もっと楽しめるはずなのに。
少なくとも読後の余韻に浸る為の気持ちのゆとりが、せめて必要。

今日読んだのは柳美里「家族シネマ」。
繊細で精緻な、鋭利で的確な文章を、味わい楽しまず軽く読み流している自分に、あぁやはり私は文学に向いていないなぁとつくづく思いました。


その後読んだあるミステリーについてのエッセイに書いてあった言葉。

「推理小説は、前半が多少退屈でも我慢してください。(後半の謎解きが肝なので)
純文学みたいに全部我慢してくれとは言いません」

なるほどね。
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只今次の企画を推進中です。
(次企画は実は本公演ではなかったりします。)
今日は、その参考になるかと本棚の本を何冊か読み直してみた中から、一つ。

清水義範の短編「デストラーデとデステファーノ」。

好きな作家を小出しにしている感がありますが、清水義範さんも好きで何冊も持っています。
「蕎麦ときしめん」や漫画家の西原理恵子(この方の作品も大好きです)との「おもしろくても理科」などが有名な作家です。「パスティーシュ小説」と呼ばれている、独特のユーモア小説を多く書かれています。
この「パスティーシュ小説」とは、他ジャンルの読み物などを文体そっくりにパロディ化した短編小説(たとえば雑誌の旅行記事風に書いた架空の温泉ガイドとか)のことで、ほぼ清水義範の為だけに使われる言葉です。

さて、今回ご紹介する「デストラーデとデステファーノ」。

デストラーデの方はご存知の方も多いと思います、昔のプロ野球選手の名前です。
で、デステファーノの方も昔のプロ野球選手の名前なのですが、たいぞーさんですら憶えてないだろうという超マイナーな選手です。

でもこの小説は野球の話ではないのです。
この2人の外人選手を切り口に、時間線について語ろうというSF小説なのです。

デストラーデとデステファーノという名前がちょっぴり似通ってるだけで実力その他は大違いな選手を知ってますか?、から始まって、この小説を書いてる時点での作者と現在の読者の時間差を指摘し、宇宙の膨張とエントロピーによる過去から未来への一方的な時間の流れの話になり、最終的に、時間の矢を逆にしたらどうなるか、という風に展開します。
この全てを、素晴らしい筆力で脱力的ユーモラスに描いているのです。
こんな話を、声に出して笑ってしまうぐらい抱腹絶倒に書いてるんです。

非常に読み易い作家なので、気軽に読むのにおすすめします。
あと、野球好きのたいぞーさんにもおすすめします。
(野球知らなくてももちろん楽しめますが)


げらげら笑える小説を頻出する稀有な作家・清水義範の、ゆるいSF短編

「デストラーデとデステファーノ」。

本を読む人で、本当によかった!
昨日まで横浜に行ってました。ほぼ、初横浜。
そこで、「馬車道」という地名を目にして、ひとりテンションが上がりました。
馬車道は、このシリーズの、舞台の一つなのです。

島田荘司「御手洗潔シリーズ」。
「占星術殺人事件」で鮮烈なデビューをし、今の本格ミステリー界を切り開いた島田荘司の、超人気・名探偵シリーズです。
(あぁまたミステリになっちゃいました。。)

この「異邦の騎士」は、名探偵御手洗潔の最初の事件で、執筆時期も一番最初の物ですが、刊行されたのはシリーズが既に何作か出てからでした。

お話は、記憶喪失になった男の一人称での描写から始まります。
そして彼の目線から、あるとほうもない事件が語られていきます。
記憶が戻らないまま、ふとしたことで知り合った女の子と同棲しはじめる主人公。
肩を寄せあうようにつましいながらも穏やかで幸せな暮らしを送るのですが、徐々によみがえる記憶の断片が少しずつ日常を侵食しだします。

ネタバレになるのでこれ以上は書けませんが、上の粗筋から二転三転と意表をつく展開がある、読後思わずため息が出るような素晴らしく練り上げられた作品です。

島田荘司はミュージシャンだった時期もあり(と言ってもうちの父と同い年ぐらいの方です)、詩人で、独特の美しい文章を書くのですが、この作品は特に詩的に、どこかもの悲しく情緒たっぷりに描かれています。
またストーリーも、舞台は昭和50年頃・背景にはジャズ喫茶や横浜の運河があり風情たっぷりな中、ひとりの弱い小さな青年が翻弄されながら精一杯生きようとする、ほろ苦い青春ストーリーとも言えます。
さっきちょっと最後の部分を読んだだけで涙ぐみました。

いやー、ほんといい小説なんでもう誰にでも読んで欲しいんですが(こればっかり)、ネタバレを避けながら一つ言いますと、「御手洗潔シリーズ」を何冊か読んでからこの本を読んで欲しいです。
もう、思い入れが全然違います。いわば名探偵誕生前夜のような話ですので。


ちなみにこのシリーズ、文化系女子たちに大人気だったりします。作者本人も作中で同人誌が送って来られるといったようなことを度々語ってますし、その後一時期は同人漫画家とコラボまでしていました。(微妙でしたが。。)
今はミステリー界に、なんといいますか萌え要素のあるというかキャラが立ってるというか、文化系女子人気の探偵物はたくさんありますが(京極堂とか)、私の知る限りは御手洗潔が大きな流れの先駆けだったと思います。



“青春小説、恋愛小説、華奢で音の響かぬこのアクースティックな楽器を用いて本格ミステリーという激しいビートの音楽を無謀にも奏でようとした”三十歳になりたてだった頃の著者が、当時の想いをぶつけて綴る

「異邦の騎士」。

本を読む人で、本当によかった!




写真に写ってるのは後から出た改訂版と本来の分とです。



OPPチョコへのご来場、そして多数の応援、ありがとうございました!
今回、お子様にも結構お越しいただいてましたので、児童文学を取り上げてみます。

アメリカの都会暮らしのお母さんであったE.L.カニグズバーグが書いた「クローディアの秘密」です。
カニグズバーグのはじめて出版した本だそうです。

物語の主人公は、もうすぐ12歳の普通の少女・クローディア。
ある日、弟のジェイミーを誘い、家出を決行します。
向かった先は、ニューヨークのメトロポリタン美術館!
なんと二人はそこにこっそり住み込んじゃうんです。

もう、ここまでのあらすじを読んだだけでわくわくしませんか?
クローディアは頭の良い娘でしっかり考えて計画を実行し、成功しちゃうんです。
美術館の中で、守衛さんからうまく逃げたり、学校のみんなが授業で偶然美術館に来てハラハラしたり、館内の噴水でお風呂に入ったり…と二人の生活は続きます。
そんな日々の中で、クローディアはとある天使の像と出会い、惹き付けられ、その謎を解こうとします…。

本の最初には、実際のメトロポリタン美術館内部の地図が載っていまして、想像がめちゃくちゃふくらみます。
私ならこの部屋で寝たいなぁとか。

そして「クローディアの秘密」は、美術館へ家出するだけの話ではありません。
ミケランジェロの作とされる天使像の謎を解こうとする過程で、大人へと一歩進む、少女の成長の物語なんです。
「クローディアの秘密」というタイトルの奥深さが、おしまいの方でわかります。

子供向けのお話ですが、著者は矛盾のないよう練り上げ、伏線を張って、しっかり構成しています。
また、原書の英語も正確な言葉でいわゆる子供語のような形容詞を使っていないそうです。訳もそれを踏まえて、児童文学の割には飾り気ない固めの文章です。

児童文学ですので小学校高学年の子や、もちろん大人が読んでも面白いと思いますが、中高生でもクローディアに共感できるところがあるんじゃないかと思います。
機会があれば、これはやはり10代半ばまでの皆さんに読んで欲しいなぁ。

ちなみに怖い歌だと有名なNHKみんなのうたの「メトロポリタンミュージアム」は、この本をモチーフにしています。
本の内容とはだいぶん違うイメージの歌なので、初めてあの歌をテレビで見た時、なんでこんな歌に??と謎でしたが。


わくわくしざるをえない強力な魅力設定と、ひとりの少女が「ちがった自分になる」成長の記、

「クローディアの秘密」。

本を読む人で、本当によかった!



フラミンゴに出演したOPPの大女優が、先日うちに泊まりに来ました。いっしょに寝ました。
そんな記念写真です。2人ともマジ寝起きです。
楽しかったー!また来て欲しいなぁ。


さて、OPPチョコ、3日前です。
お話は、登場人物5人5様の恋模様を綴る恋愛モノです。
小さな作品ですが、気軽にお楽しみいただければ幸いです。



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